まだあたたかい秋晴の休日だった。僕の三連休は三日とも労働で終わるだろう。僕の人生はこうして終わるだろう。休日にいくら働いても給料は一銭も出ない。ただ仕事が終わらない。予定はない。恋人はいない。他人のことを気にしている余裕がないんだ。僕の人生はこうして終わるだろう。
悪い友と交わるな。卑しい人と交わるな。善い友と交われ。尊い人と交われ。(中村元『ブッダの真理のことば(ダンマパダ)』78)
ほんとうは僕の友達は善い友ばっかり、なんだけどなあ。嘘じゃないんだが。僕がつきあいを維持できれば、なんだけど。
自分のためにも、他人のためにも、子を望んではならぬ。(ダンマパダ84)
愛する人と会うな。愛しない人とも会うな。愛する人に会わないのは苦しい。また愛しない人に会うのも苦しい。(ダンマパダ210)
それ故に愛する人をつくるな。愛する人を失うのはわざわいである。愛する人も憎む人もいない人々には、わずらいの絆が存在しない。(ダンマパダ211)
こういうのさ、詭弁っていうんだよな。僕は知ってるんだ。知ってるんだが。だけどまあ、そういう詭弁にノッて、ひとときの安逸を得るくらいは、許してほしいものだぜ。
何の笑いがあろうか。何の歓びがあろうか?ー世間は常に燃え立っているのにー。汝らは暗黒に覆われている。どうして燈明を求めないのか?(ダンマパダ146)
昼夜は過ぎ行き、生命はそこなわれ、人間の寿命は尽きる。ー小川の水のように。(中村元『ブッダの感興のことば(ウダーナヴァルガ)』18)
そうそう。人は必ず死ぬ。だけどそれは、僕のような人間にとっては、救いじゃないのか?
眠れない人には夜は長く、疲れた人には一里の道は遠い。正しい真理を知らない愚かな者にとっては、生死の道のりは長い。(ウダーナヴァルガ19)
ああそうかい。たしかに僕はおろかものだったよ。僕が悪かった。もうわかったから。許してくれよ。どうしろっていうんだ全く。参った参った。