虎に翼、面白いよな。
俺はテレビドラマというものを滅多に見ない。さいきん完走したものでいうと、大河ドラマの「鎌倉殿」とか、「ゆるキャン」とか(いずれも最近ではないな。)。
だけど、今やってる朝ドラは見ているのだ。
ああいう法廷ものって、見ているとつっこみたくなっちゃったりして敬遠しがちなんだが、このドラマに関してはそんなには気にならない。それは、舞台設定が昔で裁判の仕組みが違うから詳しく知らんというのもあるとは思うが、ちゃんと調べて作られてるからというのもあるんだろうなあと思う。DV夫から着物取り返すやつとか、マツケンの「水中に月の影を・・・」とか、いずれも実際にある裁判例らしいね。
もっというと、裁判パートがアツいよな。裁判官がよい判決を出して、みんなが救われる、みたいな展開が結構ある。裁判所が基本的に、ちゃんと訴えればわかってくれる、善性のものとして描かれている。まあトラちゃんがこれから裁判官になるんだから、裁判所がある程度イイモンなのは当たり前か。(検察官は多くの法廷ドラマと同様に悪者扱いで少しかわいそうだが。)当事者席や傍聴席から判決を待つ緊迫感の描写には、正直なところ、ハッとさせられる。裁判所には、当事者席から、傍聴席から、国民からの期待が向けられている。いやが上にも、向けられざるを得ないのだ。そりゃあそうだよな。現代の裁判所は、その期待に応えられているのだろうか?仕事頑張んないとな、という気持ちにさせてくれるドラマだ。
あと、ジェンダーの話。色々と思うところはあるが、俺はこの話が怖いのでノーコメントで。
というと誤解されるかもしれないが、俺はフェミニズムに共感している。確かに労働をしている女性は増えたが、いまだにある種のことはなぜか女性ばっかりに押し付けられているし、組織や社会の上の方に目を向ければ向けるほど女性は減っていく。そして日本の女性はぜんぜん声を上げない(決してそのこと自体を責めているわけではない。責任があるとすれば俺を含めた社会全体にあるのだろう。)。それは様々な意味で良くないと思う。女性の方が優遇されてるという人もいるが、それは大体は格差解消のための合理的な措置として説明のつく範囲のものか、そうでなければそれ自体がある種の偏見の下に作られた差異であるか*1のどっちかだろう。
と、思うのだが、ここからが問題なのだが、俺自身がいかんせん女性との関わりが欠如している非モテなので、どこまで行ってもアタマで考えただけの理想論にすぎないのだ。実践が伴ってない。ワークとバランスをとるべきライフが存在しない人生を生きてきた。面倒なことから逃げ続けてきたのだ。誰だって、アタマの中だけでなら、どんな理想的な人間にもなれるだろう。どんな悪党でも、地球の反対側で起きている問題についてなら、完全に純白な正義になれるだろう。だが、俺のような奴が地球の反対側から家事育児WLBなどいくら語っても、薄っぺらいウワベの言葉を並べるのがオチなのだ。俺はフェミニズムに共感するが、その思想に堪えうる理想的な人間にはきっとなれないだろう。俺は自分一人の人生で手一杯なのだ。そういうわけで俺はこの辺りの話題を語るのが怖いのだ。自分が言ったことに責任をもてないのだ。だからノーコメント。(もうだいぶ語ってしまったが)
ただ、あえて物語の文脈から離れて一つ言っておくと、社会的信用を得るために結婚したい、というのは、そうだよなあと思う。しかるに、寅子は、それは心底しょうもないみたいに言っていたが、俺は、少なくとも法律家の信用度を測るのに、結婚しているかどうかを見るのは、割と合理的なんじゃないかと思う。まさに寅子が家族ができて仕事やめてみたいなので葛藤しているように、他人の人生を背負って苦悩しながら生きているような人でないと、自分の人生の重要な問題も任せたくないってもんじゃないか。だから、世の中みんなが家庭をもつべきだとは言わないけど、少なくとも法曹みたいな、他人の人生のセンシティブな問題を飯の種にするアコギな人種は、せめて、(別に法的に承認された関係である必要はないが)誰かしら自分以外の人間の人生に責任を負って生きるのが望ましいのかなあとは思うのだ。
とは思うのだが。あーあ。もうやんなっちゃうな。参った参った。
*1:地元の田舎に帰ると飲み屋の値段が男女で違ったりするがそれはこっちに当たるだろう。