あかりの日記

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【判例】営業秘密の閲覧制限申立ての疎明

最高裁令和4(マ)第246号同6年7月8日第1小法廷決定・判例集未登載

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93177

【判示事項】

 民事事件の訴訟記録に係る閲覧等の制限の申立てについての却下決定に補足意見が付された事例

【事案の概要】

 基本事件の上告人のXが、基本事件の訴訟記録につき、営業秘密(民訴法92条1項2号)に当たるとして、閲覧等の制限の申立てをした事案。

【裁判要旨】

 本件申立てを却下する。

 

☆検討

1 深山裁判官の補足意見

 深山裁判官は以下の趣旨の補足意見を付した。

 すなわち、民訴法92条1項2号は、裁判の公開原則(憲法82条)の重大な例外として、保護される営業秘密を不正競争防止法2条6項に規定する営業秘密に限定している。そのため、閲覧制限申立ての要件たる営業秘密性の判断に当たっては、「 申立てに係る部分が同号の営業秘密に該当すること、すなわち、①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、及び③公然と知られていないものであること(非公然性)の三要件を具備していることの疎明があるか否かを慎重に検討する必要がある。 」

 申立人は、本件申立てに係る訴訟記録の箇所がこれらの要件に当たることの具体的な主張や疎明をなんら行わないので、本件申立ては却下を免れない。

 「 近年、民事訴訟法92条1項2号による訴訟記録の閲覧等の制限の申立てにおいて、申立てに係る部分が営業秘密に該当することの疎明が十分にされていない事案が少なからず見受けられることに鑑み、本件申立てが却下を免れない所以を補足した次第である。 」

2 閲覧制限制度の運用

 もしあなたが会社訴訟を多くやっている弁護士であれば、営業秘密の閲覧制限の申立てを利用したことはあるだろう。本決定以前には、正直あまり疎明しなかったけど認容された、という経験がある人もいるのではないか。

 閲覧制限の決定がされても、訴訟の相手方は記録を見ることができ、不利益はないので、相手方が不服申立てをすることは通常ない。閲覧を求める第三者が通常抗告をすることは制度上はあり得るが、現実的にはほとんど起こり得ないだろう。さらに、閲覧制限の決定書は、(本決定を見れば明らかなように、)運用上、通常は理由を記載しない。これらの事情も影響して、かは知らんけど、従前は、営業秘密の要件該当性が緩めに判断されるようなケースもあったんだろう。

 そのような下級審の運用に、割とハッキリ喝を入れたのが、上記深山裁判官の補足意見である。本決定を受けて、現在係属中又は今後提起される閲覧制限の申立てについては、裁判所から、従前より厳しく、要件該当性の疎明を求める訴訟指揮がされる可能性がある。知らんけど。

まあ本来はそうでなきゃいけないからね。しょうがないね。